ピロリ菌について
ピロリ菌は胃癌のリスク因子の一つです。
禁煙により肺癌のリスクが低くなるのと同様にピロリ菌を除菌することで胃癌のリスクが低くなります。
当院では、上部内視鏡時にピロリ菌感染が疑われる方には、ピロリ菌のチェックを行います。
もし、ピロリ菌が存在すれば、除菌をお勧めします。
現在、胃癌は日本では唯一、罹患率が減っている癌です。
何故でしょうか?それは、胃癌の発生リスクの一つにピロリ菌感染があるからです。
ピロリ菌の感染確率は、今の50歳前半より若い方では、約30%未満、それ以上の年齢層では約60%以上になります。
ピロリ菌は幼少時(5歳未満)にその感染が終了するといわれています。
まだ、防御機構の不十分な幼少時の胃粘膜でないと感染の確立が困難と言われています。
幼少時にピロリ菌に強く暴露しない限り、その後の防御機構の整った胃粘膜には感染が困難と考えられているためです。
更にもう一つ、ピロリ菌による胃癌発生の後押しをしている物質として塩化ナトリウム(食塩)の過剰摂取があります。
1990年代から比較すると現在の日本人の平均食塩摂取量は一日量で約3g程減っています。(欧米諸国と比較すれば、それでもまだ多いのですが)
この事象も日本人の胃癌が減少している要因の一つといわれています。
喫煙者が全員肺癌で死亡する訳では無いのと同じで、ピロリ菌感染者が全員胃癌で死亡する訳ではありません。
胃粘膜にピロリ菌が存在しないという事だけで、胃がんの発生確率はそうでない方の約1/3~1/6に減ります。
減りますが、0になる訳ではありません。
肺癌に例えるならば、ピロリ菌を除菌することは、禁煙をした状態に近いと思ってください。
非喫煙者でも肺癌になるように、ピロリ菌陰性者でも胃癌に罹患します。
喫煙者はピロリ菌陽性者と考えるとわかりやすいかもしれません。
除菌をする年齢が早ければ早いほど、その後の胃癌発生率も低くなります。
当院では、積極的にピロリ菌のチェックを行い、必要な方には除菌を行っていきます。